大阪新歌舞伎座

nao道

2012年05月10日 08:08


「モダニズムの巨匠」村野藤吾が、施主から歌舞伎にちなんだ桃山調の劇場を建築するよう依頼され設計した、かつて難波(なんば)の名所として御堂筋にその威容を誇った新歌舞伎座は、現存するものの劇場としての役割を終えています。(天王寺・上本町YUFURAに移転しています。)
村野建築、特にホールや劇場にはモダニズムと様式性の共存が見られることがあり、新歌舞伎座の場合は、日本の伝統的な様式のモチーフを反復させた結果、正面が抽象的な一枚の面に感じられるという形で、モダニズムと様式が共存しています。


建物正面の頂部に大きな千鳥破風を載せ、壁面には通常は建物に一つだけ取り付けるはずの唐破風が連続的に反復する他に例を見ない独創的なデザインとなっています。
正面に設けられた唐破風が連続していることにより、逆に軽やかさとスマートさを取り入れているかのようなファサードが印象的です。

戎橋筋商店街の路地裏から撮影してみました。こういうショットもEですね。
この劇場のスゴイというかヘンところは、名前とやってることが全然違うところでした。歌舞伎なんかほとんどやってなくて、歌手の公演や歌手による演劇とか、演歌ショー、歌謡ステージとかが95%(nao道調べ)を占めていましたよね。


内部には、藤や鉄を使った工芸的なデザインが多数あったようです。村野らしい装飾に満ちた空間だったようです。



大阪市中央区難波4-3-2
設計:村野藤吾/村野・森建築事務所
竣工:昭和33年(1958)
施工:大林組
構造:RC造(一部鉄骨造)、地上5階・地下2階



僕の場合は中に入ったことがありませんので、それが今となっては悔しいです。


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