竹本住大夫、引退表明
人形浄瑠璃文楽の語り手の第一人者として長年活躍し、病を乗り越え去年、舞台復帰を果たした人間国宝の竹本住大夫さんが、今年春の舞台を最後に、引退する意向を表明、記者会見で発表しました。
最後の「浄瑠璃ええもんでっせ、文楽ようできてまっせ。」という言葉、「あの世でも稽古せんならん」という言葉は、まさに「芸の鬼」と呼ばれた男の名言となるのでしょう。
竹本住大夫さんは、大阪市生まれの89歳。
昭和21年に名人・豊竹山城少掾(やましろのしょうじょう)に入門し、初舞台を踏み、同60年、七代目竹本住大夫を襲名しました。
平成元年に人間国宝に、また平成17年には、文化功労者に選ばれました。
お年寄りから女性や子どもまで、さまざまな登場人物を情感豊かに演じる力は、「太夫の最高峰」と評価されてきました。
住大夫さんは、一昨年7月に脳梗塞のため入院し、一時は復帰が危ぶまれましたが、懸命のリハビリを行って去年1月、舞台に復帰し、「奇跡の復活」として多くの観客の感動を呼びました。
一方で、ことし10月に90歳の節目を迎えることもあって去就が注目されていました。
時代の波に翻弄される庶民の苦悩や情を描いた“時代世話”と呼ばれるジャンルを得意とし、当たり役は4月の大阪・国立文楽劇場での公演でも勤める「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)・桜丸切腹の段」をはじめ、「伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)・沼津の段」や「義経千本桜・すしやの段」などがあります。滋味にじむ情の深い語りで多くのファンを魅了し、元年の四世竹本越路大夫さん引退後、太夫の最高峰として文楽を牽引し続け、現代文楽を象徴する存在でもありました。
『もともと不器用でおぼえが悪い私に、先輩達は誰も「やめ(やめろ)」とか言わずに「もっぺん(もう一回)やろか」とか言うてくれたことに感謝しております。』と文楽の先輩に対する感謝の意を述べられていました。
うう、私が文楽をかじり始めたら…次の国立文楽劇場は、必ず観に行って、目に焼き付けようと思っています。
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