榎木大明神

nao道

2011年01月23日 03:47



榎木大明神の由来

長年に渡り、地元の人に「エノキさん」「巳さん」と親しみ呼ばれているこの大樹は、正しくは「槐(エンジュ)」という中国原産の樹である。楠木正成公がお手植えという説もあり、樹齢はおよお六百五十年と言われている。
豊臣の時代には当地も大阪城域で、この辺りは紀州熊野参りとお伊勢参りの街道筋だった。だから大きくそびえるこの樹は、何よりの目印になったし、また地元の人達は土地神として「白蛇大明神」の祠を建てて代々この樹をお守りしてきました。
昭和二十年(1945年)第二次世界大戦の大空襲の折には、襲ってきた猛火がこの樹の辺りでピタリと止まり、東側一帯が危うく類焼を免れた。これも霊験のひとつとして語り伝えられており、毎年春のお彼岸前後には、地元「箔美会」の人達により、榎木大明神の大祭が挙行されている。
昭和六十三年(1988年)、当樹が枯死寸前の状態になったとき、大阪市と「箔美会」からの依頼を受けた山野忠彦樹医の適切な延命治療により、再び元気を取り戻した。
そして現在、樹勢は極めて盛んとなり、地元で実施され直木賞で有名な直木三十五氏の文学碑とともに、都心のオアシスとなっている。  平成六年(1994年)十月吉日
-榎木大明神 箔美会


「坂を抱く街」上町台地の象徴のような榎木大明神さんは、昔この坂の下の際(現・長堀通)まで海やった時からこの地を見守っていたようです。まるで住吉っさんのような立地やったんですな。熊野街道がこの付近で東に道を曲げています。

小説、プリンセス・トヨトミ(万城目学/文藝春秋)の第一章の51ページに次のように榎木大明神が描写されています。
この章の挿絵にも描かれた榎木大明神は実在します。

鳥居を押し包むように、一本の巨木が立っている。大きく枝葉を広げた木が、幅の狭い道のほぼ左半分を塞いでいた。その手前には、木の根元に寄り添うように、小さな社がひっそり構えている。
ちょっと待ってて、と茶子に告げ、大輔は傘を閉じ、鳥居をくぐった。障子一枚くらいの大きさの鳥居には、「榎木大明神」と赤字で書きこまれた額が掲げられていた。雨と朝の光が混ざり合い、空が妙な具合に白く輝いている。木の下から見上げると、生い茂る葉の隙間から雲の光がぼんやり洩れて、枝葉がおぼろに映った。
榎木大明神は、その名のとおり大きな神樹だ。厳密にはエノキではなくエンジュという木らしいが、このあたりを守る立派な神さまである。太い木の幹には綱が巡らされ、足元に小さな祠が置かれている。御神体の白蛇にちなみ、地元の人間はこの小さな稲荷を「巳さん(みいさん)」と呼ぶ。
「強さをください」
祠に手を合わせ、大輔はこれまで七年間、お願いしてきたことと、はじめて別の願い事をした。
丸っこい身体をさらに丸め、大輔が巳さんに頭を下げている間、茶子はまだひだの付き方が真新しい、おろしたてのスカートを見つめていた。
-第一章p51


全国東宝系で2011年5月28日から公開される映画も楽しみです。原作を全部読み終えてないのに楽しみです。
映画のロケ地になってますよ。きっと。。。

原作:万城目学プリンセス・トヨトミ」(文藝春秋)
監督:鈴木雅之
キャスト:
鳥居-綾瀬はるか
旭ゲーンズブール-岡田将生
松平元-堤真一
真田幸一-中井貴一
真田竹子-和久井映見
真田大輔-森永悠希
橋場茶子-沢木ルカ
公式サイト: http://www.princess-toyotomi.com/

アクセスは簡単や!
長堀鶴見緑地線松屋町駅下車、長堀通を東へチョイです。
下の地図を参照して下さい。4946です!


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