2014年03月05日
傾城恋飛脚-新口村の段
近松門左衛門作「冥途の飛脚」(宝永八年<一七一一>)が描く、梅川忠兵衛事件の新口村の場面は、現在の文楽では安永二年(一七七三)十二月大坂豊竹此吉座初演、菅専助・若竹笛躬合作の「傾城恋飛脚」を上演します。
雪景色の新口村。忠三郎の留守宅に素性の知れない男たちが訪れるところから始まります。
十両盗むと死罪となる時代、三百両を横領した忠兵衛は、梅川と故郷にたどり着きますが、実父の家来筋に当たる女房の話から追手が迫っていることを知ります。東本願寺の出張所に向かう信仰心の厚い人々の中に実父の孫右衛門の姿を認めた忠兵衛夫婦は、その姿を拝むばかりです。
自分を介抱する梅川の振る舞いに、素性を察した孫右衛門は、養子親や世間に対する義理と、子供への情に苦しむ胸の内を明かします。一方梅川は、遊女に誠意を見せた男に尽くす女心を語り(クドキ)、親子の対面を果たさせます。子を思う親の思いを伝える段切は、文楽屈指の名文です。
-平成26年「初春公演」パンフレットより
人形浄瑠璃文楽 平成26年初春文楽公演
第1部(午前11時開演)
二人禿(ににんかむろ)
源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき)-九郎助住家の段
傾城恋飛脚(けいせいこいびきゃく)-新口村の段
第2部(午後4時開演)
面売り(めんうり)
近頃河原の達引(ちかごろかわらのたてひき)-四条河原の段・堀川猿廻しの段
壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)-阿古屋琴責の段
Posted by nao道 at 21:49│Comments(0)
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